【第5話】7か月の粘りアポ?! ビール売り子をエクセルで管理

 

世の中に男の”キモい”行動というのは数多あるだろう…。

女の子としてはなぜこの行為がキモいと気づかないのだろう…?と思うことがあるはずだ。
しかし、男は時としてキモくあらねばならないことがある。

それを証明した経験した話をしたいと思う。

野球の売り子・えみ

「売り子」というアルバイトを知っているだろうか?

野球場の「売り子」は飲み物の入った重い荷物を抱えながら、球場を歩き回ってお客さんにビールなどを販売する仕事だ。おのののかを代表とする「売り子」のアルバイト経験者は、例外なく容姿端麗であり、言葉を選ばずいうと、もうめちゃめちゃエロい。

野球ファンのおじさんたちは、試合を見ているようで見ていない時がある。なぜなら自分のお気に入りの「売り子」と喋りたくて仕方がないからだ。

そんな伝説のポケモンともいえる職業の「売り子」は、男たちの野球観戦を彩る”高嶺の花”であり、プライベートで遭遇するのは至極困難だろう。

2014年の話だ。社会人1年目の僕は、同世代が一堂に会する「タメNIGHT」という異業種交流会に参加し、東京の某球団のホーム球場で「売り子」をしていたという女の子と出会った。

売り子の名前はえみ。

身長は165cmほどだろうか。僕の好きなクリッとした大きな目をしていて、ヘアスタイルはセミロング。髪色は品の良いブラウンだった。

可愛い女の子というのは、髪の毛が例外なくツルツルなのはなぜだろうか。ふとしたそよ風にサラっと崩れる前髪は、視覚を楽しませてくれるだけでなく、何故だか良いにおいを”錯臭”してしまうほどに心を惑わしてくる。

平々凡々なサラリーマンからすると1年に1度あるかないかのチャンスだ。
その日、立食形式の異業種交流パーティーに1人で参加した僕は、3人組の中の一人であるえみに照準を絞って、勇気を出して単騎で話に割って入った。

もちろん、テンションが低いやつと喋りたいなんて誰も思わないだろう。僕は若手さながらの高いテンション入っていった。その甲斐あってか、えみを含む3人組とはLINEを交換し、その日は定型文のやりとりで終わった。

 

イベント後の定型文のやりとりの後に待ち構えるのは、次のデートの約束を取り付けることだ。しかし、誘う”大義名分”がないなか、LINEをおくっても、送っても返事が返ってこない

さらに翌日、再度メッセージを送ってもやはりこない。1週間… 2週間と間隔をあけても連絡は来ない。

 

「やはり売り子には手が届かないか・・・」

 

ただ、一つ救いだったことがあった。
それは、「既読」がつくのである。

いわゆる「既読スルー」というのは、一番の悪とされているが、そんなことは全くない。「ブロック」されるまでは試合終了のブザーは鳴っていないのである。

「既読」さえつけば、まだ可能性はある。1%でも可能性があれば、まだ試合終了ではないと誰かが言っていた。

僕は、忘却されないように、かつブロックされないように、2週間に1度は何か連絡をするという暴挙に出た。もはやチェックボックスを外し忘れた定期メルマガのようだ。

もう執念だけが、体を動かしている状態だ。

もちろん、男性の視点から見たら執念であるが、
女性の視点から見たら恐怖でしか無いという認識はある。美談などでは決してない。

僕は「キモさ」に全力でコミットすることに決めたのだ。

キモさにコミットしてから、はやくも7ヶ月もの月日が経った。

11月に入る頃。
もはや、2週間に一度の”メルマガ”もだんだんと適当になってきた頃。突如として「その時」を迎えた。

とある日の休日に、ブブッと1通のLINEが入った。

なんと、えみからの7ヶ月ぶりの返信だった。

 

「いま…、有楽町これる?」

 

目を疑った。
なんとえみからお誘いが来たのだ。

理由はわからない

  • 彼氏と別れたから?
  • 秋になったから?
  • 職場で嫌なことがあったから?
  • クリスマスが近いから?

いずれにせよ、こんなにキモいLINEを送り続けた奴に対しても、女の子は「頼りたくなる時」というものがくるのだ。

ーーー諦めたらそこで試合終了ですよ。

心の中で敬礼をしつつ、僕は急いで有楽町に向かったのである。

久々の再会に胸は自然と高鳴る。

すでに7ヶ月前の記憶だ。思い出補正で美化されていて、改めてみたら可愛くなかったらどうしようなんて考えたりもした…。

駅を降りて、待ち合わせ場所に行くと、そこに待っていたのは、以前と少しも変わらない。一目でえみだとわかった。

 

かわいい。

 

心の中でそう呟いた。

前より少し髪の毛が伸びていたーー。
ぼくは嬉しさを押し殺して冷静さを装った。

 

「久しぶり。」

 

向こうはずっと既読無視をしていたためか、ちょっと気まずそうに会釈した。

突然誘われたことと、高揚感で何も店を決めていなかったので、近場の居酒屋に決めた。

7ヶ月越しに唐突にチャンスが舞い降りた。

「もう今日しかない。」

これから始まるのは2時間1本勝負のタイトルマッチ。
しかし、一つ誤算だったのは机を挟んで正面に座ったことだ。距離を縮めるにはどう詰めるか。

禁じ手に出た。ぼくの最初で最後の禁じ手だ。

日本酒でほろ酔いしたえみから、においフェチという情報を引き出し、におい診断のもと横に座ることに成功した。

えみは軽く鼻をくんくんとした。

 

「におい、どう?」

 

「うん、悪くないよ」

別に、本当ににおいを診断してほしいわけではない。

僕は、顔の近くを指さした。

 

「もっと嗅いでほしい」

 

えっ

 

そういいながら、えみは僕の首元のにおいを嗅いだ。

 

「におい、どう?」

 

「・・・・・・・・」

「うん、、、いいにおいがする・・・」

 

そのまま、えみを抱き寄せ、僕たちは何も言わずに15分抱き合った。

7か月既読スルーされていた女の子と、今では熱を感じるところまで近づいている。すごい幸せだった。

パッと離すと、サラサラな髪の毛はところどころ跳ねて上がっており、少し充血した瞳で僕の顔を上目遣いで見つめる姿にキュンキュンが止まらなかった。この空気感に適した言葉が見つからなかったので、僕はもう一度抱きしめた。

 

・・・普通の居酒屋だけどいいのかな。

 

また少し時間が経ち、えみを離した。

もう言葉はいらないほど、僕は夢見心地で、ぼーっとしていたが
そろそろ何か話さなきゃいけないと思い、質問した。

 

「終電大丈夫だっけ?」

ーーーハッ

しまった、と思った。

案の定、えみは何かを思い出したかのように急に我に返り終電を調べた。

 

「やばいかも」

 

ちょうど終電まで間に合う時間だったため、最後はバタバタっと帰る準備をし、急ぎ足で駅に向かった。

翌日、LINEは返ってこなかった…

えみはあの時、僕に何を求めていたのだろう。どんな言葉をかけて欲しかったのだろう。

今となってはその真意は分からないけれども、手から零れ落ちた水は戻ることはなかった。

僕の過去のなかで思い出したくない思い出の一つとして、エクセルに刻まれた。

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